輪島塗、台湾で発信 3月、隈研吾氏の皿で提案

隅氏がデザインした輪島塗の皿を見る稗田料理長(中央)=輪島市平成町

3月に台湾で世界的建築家の隈研吾氏がデザインした輪島塗の器を用いた料理イベントが開催される。現地の富裕層に日本を代表する伝統工芸の魅力に触れてもらい、輪島塗の販路開拓につなげる。4日は会場となる台北市の日本料理店の料理長が輪島市を初めて訪れ、輪島塗の器と台湾の食材が融合した料理の創作に意欲を新たにした。

イベントは「獨一無二的輪島漆器晩餐with祥雲龍吟」と銘打ち、昨年10月に輪島市でグルメイベント「ダイニングアウト」(北國新聞社後援)を主催したワンストーリー(東京)が企画。台湾ミシュラン二つ星の日本料理店「祥雲龍吟」(台北市)の協力を得て、3月13、14、20、21日に開催される。

輪島漆器商工業協同組合や同社などが進める輪島塗開発プロジェクト「デザイニングアウト」で隈氏がデザインした輪島塗の主要6工程を表現した6枚組の皿二十数セットを持ち込む。 稗田良平料理長(38)が台湾を中心に輪島などで調達した食材を使い、皿に合わせた特別料理を提供する。1組2人で45万円相当で、12組24人に隅氏の皿6枚組1セット付きの贈呈で輪島塗の魅力に触れてもらう。

イベントを前に、稗田料理長は輪島市の輪島屋善仁を訪れ、隅氏の皿6枚組を手に取り、職人の技の粋に触れた。中室耕二郎社長の案内で木地や下地、研ぎ、上塗り、蒔絵(まきえ)の各工程で職人の手仕事を見て回った。

輪島市の寒長椀工房や大橋呂色工房も訪れ、木地作りや艶やかな仕上がりの工程も見学。地元の農園で焼き栗棒や干し柿など能登の食も堪能した。3日には能登唯一の手漉て(す)き和紙「能登仁行(にぎょう)和紙」の魅力にも触れた。

稗田料理長は「日本の伝統工芸と台湾の食材を融合させ、輪島塗の職人が手仕事で作った器でどんな料理を提案できるか。一つのチャレンジで、楽しみたい」と意気込んだ。

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